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水曜ラベクル★『ムーミン谷の短い夏@Naantali』par北山裕子

2004.07.10

Visitons au coin de la rue , pour trouver notre specialite !
第30回『ムーミン・ワールド@ナーンタリ/フィンランド』(05/26/2004放送分)

い、いかん…6月分の原稿をUpしようとして呆然…5月分すら未だでした(そして今は7月も1/3が過ぎ/汗)★
映画のナンジャカンジャは、近日Upする6月分に併せて掲載します。
先ずは、空気の中を「泳いでいるかのような」湿気∞な日本の夏(ホント、梅雨は何処へ?)を暫し忘れ、北欧の愉快な仲間達(6月半ば~8月半ばだけ活動/後は冬眠!!!)に思いを馳せて下さいませ。。。

1)
毎月最終水曜日この時間は、人知れぬ物語を秘めたヨーロッパの旅にお連れします。

世界中で愛されている、カバのような不思議なキャラクター…といえば、フィンランド生まれのご存じ『Moomin』。
3年前の6月に亡くなった女流作家で画家のヤンソンが、ムーミンを生み出したのは今から60年前…第2次大戦前夜の政治風刺漫画に登場したのが、そもそもの始まりでした。

本日の行き先は、北欧の短い夏=毎年僅か2ヶ月だけ、ムーミン谷の住人達に会える「ムーミン・ワールド」がある町、ナーンタリです。

フィンランド・ヘルシンキからナーンタリまでは、列車で約2時間半です。

Le destination d’aujourd hui est Naantali(ナーンタリ)…………。

2)
中世スペイン語で「優美な谷」の意味を持つ、フィンランド1の陽光が注ぐリゾートの町=ナーンタリ。
湖に掛かる長い木の橋を渡った先、うっそうとした森に囲まれた小さな島に夏の僅か2ヶ月間だけオープンする「ムーミン・ワールド」。

ムーミン・パパがハンモックで休む「ムーミン・ハウス」に、慌しい「ヘムレンさんの家」。石の階段と坂道を登り森に入れば、魔女の内緒話や突然の雨にドッキリの「ささやく森」。
「吊り橋」を渡り「魔女の迷路」を抜けるとムーミンやフローレン(ノンノン)、スニフにバッタリ遭遇。難破船の浜辺からニョロニョロの島を目指しボートに乗れば、岸で見送るニヒルなスナフキンにおチビのミー…と、楽しい驚きの連続です。

有名な彫刻家の父に挿絵画家の母…1914年、芸術一家の長女に生まれたスウェーデン系フィンランド人のトーベ・ヤンソン。スウェーデンの叔父に聞いた北欧神話に登場する森の妖精ムーミン・トロルの話と、喧嘩の腹いせに書いた弟の顔の落書きから生まれたムーミン。

迫り来る戦火の予感に、日ごと強まるソ連やドイツからの抑圧。
40年代、反戦雑誌「ガルム」に政治風刺漫画を連載し、度重なる検閲や似顔絵の書き直しにうんざりしていたヤンソンは、政治家や町の人々の代りに、ユーモラスで物悲しい「ムーミンと奇妙な仲間達」を登場させます。

3)
マイホーム・パパの代名詞に見えて、家族への愛と冒険への憧れに揺れた挙句、周期的に家出をするムーミン・パパ。良妻賢母のムーミン・ママも時に自分の描いた絵の中に逃避し、優しいムーミン とて自らの意気地なさや醜い心に苦悩する…と、案外哲学的な「ムーミン」の原作。

数々の困難を前にしても、皆で団結を誓う事も年長者が有難いお説教をする事も無し。思いやりや友情・家族の絆は大切にしつつ干渉はしない。いつだって勝手気侭、筋金入りの変り者で溢れるムーミン谷。…が、誰かの頓珍漢な行動こそが問題解決の糸口になる事も。

深刻なエゴや葛藤を、さらりと描いたヤンソン。「歯を食いしばって頑張るだけが能じゃない、人生には大らかさも大切」…そんな声が聞こえそうです。

4)
今回ご一緒した、短い夏の間だけムーミン谷が現れる町=ナーンタリ、如何だったでしょうか。

それではまた、次回の旅をお楽しみに。
A la prochain fois !

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