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水曜ラベクル『死の町@Les Baux de Province』+映画4本★par北山裕子

2004.09.16

Visitons au coin de la rue , pour trouver notre specialite !
第33回『レ・ボー・ド・プロヴァンス/フランス』(08/25/2004放送分)

朝晩はすっかり涼しくなり、いやはや(一昨日の晩に遅~い夏休み@噴火セーフの浅間界隈…から帰ったばかりなのに)秋の気配ですねぇ。
残暑の灼熱地獄(大袈裟)の中お送りした8月末の旅は、かつてひと夏マルセイユを拠点に回った南フランスで、「廃墟」マニア?な私のハートに最もビビビと来た町=「レ・ボー・ド・プロヴァンス」♪
白いエアーズロック?いや、むしろ白いミニ*グランド(大小どっちやねん!?)・キャニオン…インパクト満点な景観≠可愛らしい城下町がグー!
因みに、石灰岩=ボーキサイトの「ボー」は、レ・ボーの「ボー」からきているんですよぉ(ミニ知識)。
…とその前に、今月も初秋の試写会レヴュー(毎度ながら、公開が始まっている作品も/汗)をサクサクと!

『ヴァン・ヘルシング』9/4~☆☆
=「X-Men」ヒュー・ジャックマン主演、中世ヨーロッパを舞台にした吸血鬼ハンターの冒険活劇。SFXを駆使し、至る所から華麗に?迫り来るヴァンパイア&モンスター、挙句にフランケンシュタイン(苦笑)登場…と、ホラー度↓&興奮度↑のアトラクション大作。日本語吹替え版もあるので、ご家族でも。

『テイキング・ライヴス』9/11~☆
=アンジェリナ・ジョリー&イーサン・ホーク&キーファー・サザーランド(24・Twenty-Four
のお陰でジャック・バウアーにしか見えない/苦笑)等…豪華キャストによるサイコ・サスペンス。次々に殺人を重ねては被害者の人生を乗っ取る知能犯VS女性捜査官…が、早々に犯人の目星∴惜しい!

『アイ、ロボット』9/18~☆☆
=ウィル・スミス主演(初シリアス)のSFサスペンス大作。アシモフ提唱のロボット3原則(決して人に危害を加えない)に基づき、人とロボットが共存する2035年のシカゴで、有名科学者遂げた謎の死。ロボットの関与を疑い捜査を始めた一人の刑事は、やがて巨大な陰謀に巻き込まれていく。SFXの粋*無尽蔵に現れるリアルなロボットの群れは圧巻◎

『世界で一番不運で幸せな私』9/25~☆☆(☆)
=ヨーロッパ中で「アメリ」以来の大ブームを起こした、キッチュで切なく残酷な(正に仏映画!)大人の恋愛ファンタジー&漫画/絵本の世界で活躍してきたヤン・サミエル監督の処女作にして超衝撃作。子供時代の悪趣味な「ゲーム」のお陰で、互いの恋心を明かせないソフィーとジュリアン。年々過激さを増す運命の二人の「ゲーム」、その行き着く先は!?…「ポンヌフの恋人たち」「ベティ・ブルー」辺りがお好きな方には、超お薦め(好みが分かれるところ)◎

…では、いざ本編を。。。

1)
毎月最終水曜日この時間は、人知れぬ物語を秘めたヨーロッパの旅にお連れします。

イギリス人エッセイスト=ピーター・メイルに紹介されて以来、お洒落な田舎生活の代名詞になった、南フランス・プロヴァンス地方。
オリーブやレモンがたわわに実る果樹園にハーブ畑、穏やかな日差しに人懐っこい村の人々…。そんなイメージに反し、「夏草やつわものどもが夢の跡」…芭蕉の句が見事に嵌る異様な町があります。

本日の目的地は、「死の町」「廃墟の町」の異名を取る=レ・ボー・ド・プロヴァンスです。

フランス・パリ-リヨン駅からアルルまで超高速列車TGVで約4時間、バスに乗換え30分少々で、レ・ボー・ド・プロヴァンスに到着です。

Le destination d’aujourd hui est Les Baux de Province(レ・ボー・ド・プロヴァンス)…………。

2)
ゴッホの絵画や、ローマ軍遠征の名残・多くの古代遺跡でも有名なアルルから、バスに揺られ、東に80km。
庭先を埋める色とりどりの花&扉や窓枠をパステルカラーに塗った可愛いらしい家が並ぶ小さな村を幾つか抜けると、突如目の前に聳え立つ、白く巨大な岩山。
石灰岩で出来た山の頂に見えるのが、遠目にも恐ろしいほど朽ち果てた、かつての要塞都市=レ・ボー・ド・プロヴァンスです。

映画にもなったジャン・コクトーの名作『オルフェ』で、主人公が鏡の中を通り抜けて入る「黄泉の国」のモデルにもなった、神秘的でそこはかとなく「死の香り」が漂う町。
白い岩肌がいつの間にか人工の岩壁に変わっていく不思議な城壁は、今や無残に崩れ去り、瓦礫と化した城跡には、雑草が生い茂っています。

13世紀、80もの町を従えていた領主レ・ボーは、王室の支配を不服とし、難攻不落の城に要塞を築き、強大な軍事力を盾に反乱を繰り返します。
…が遂に1632年、ルイ王朝に敗れると、見せしめも兼ねて、レ・ボーの町は完全に破壊し尽くされ、その姿をとどめる為に修復すら禁じられたのです。

3)
要塞跡を背に、糸杉のような奇岩の間をすり抜けて、迷路のように入り組んだ細くて急な石畳を降りたり上ったり…。
岩山の中腹では、半ば壊れ風化した中世の町並みを生かし、可愛らしい土産物屋にカフェ、アーティストのアトリエや活版印刷の工房が軒を並べ、観光客を楽しませています。

青空の下、どこまでも広がる、山々に囲まれたオリーブ畑に、点在する豊かな集落。
地中海に向けて谷間を吹き抜けていく、冷たい風=ミストラル。
天上から地上を見下ろし、長きに亘り栄華を誇ったレ・ボー・ド・プロヴァンス。
「奢る平家は久しからず」…。一抹の寂しさ&日本的な滅びの美に、何故か奇妙な郷愁を覚えます。。。

4)
今回ご一緒した、美しき廃墟の町=レ・ボー・ド・プロヴァンス、如何だったでしょうか?

それではまた、来月の旅をお楽しみに。
A la prochain fois !

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