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水曜ラベクル『夢の魔宮?ピカシェットの家/シャルトルの町』par北山裕子

2002.05.12

Visitons au coin de la rue , pour trouver notre specialite !

第3回『シャルトルの町/フランス』(01/12放送分)

カソリックにとっては聖なる12月、それ以外の人々にとっても1年の締めくくりに当るこの月に、是非ご紹介したかった場所です。

名も無き一個人が、栄誉や名声を求めるでもなく、ただ自分の思うが侭、長~い歳月をかけてコツコツと作り上げた奇妙な『夢の城』☆

不思議と、20世紀の美の巨人の一人=ガウディにも通じる感動がある…といったら大袈裟でしょうか?

尚、本文中「素敵な音楽と共に」という下りがありますが、OAでは独断でセレクトした「イメージにマッチする曲」を毎回3曲程はさんでおります。

コラムを読んで下さる方は、どうそ思い思いのリラクゼーション・ミュージックでお楽しみ下さい♪

PS:2)の冒頭*「ノートル・ダム大聖堂」と聞くとパリのイメージ映像でお馴染み=セーヌ川のほとりの大聖堂を想像してしまいますが、実はこの「ノートル・ダム」という名前「我等が母=聖母」といった意味で、国中に数多く見られる名称なのです。

その中でも、このシャルトルの大聖堂の美しさは最も素晴らしいものとして、多くのフランス人達に愛されています。。。

1)

月に1度、ガイドブックにも殆ど出ていない、ヨーロッパの小さな村や町に、

たった1つのモノや建物との出会いを求めて出掛ける、『お気に入りを探す旅』。。。

素敵な音楽と共に、本日もご一緒しましょう。

今回訪れるのは、ブルーを基調とした「薔薇窓」と呼ばれる巨大な万華鏡を思わせる美しいステンドグラスの丸窓、そして右はゴシック/左はロマネスクと左右異なる様式で聳え立つ2つの塔でも知られる「世界遺産」=「Notre-Dame大聖堂」がある、フランス・パリ郊外の町です。

町の外れには、この世界的な壮大且つ偉大な建造物とは好対照に、フランス人でも知る人の少ない一個人の手による隠れた超芸術=「おとぎの国」を再現したような小さなモザイクの家=「メゾン・ピカシェット/通称:ピカシェットの家」があります。

本日の行き先は、そんな知られざる摩訶不思議な家のある町=シャルトルです。

フランス、パリ・モンパルナス駅からル・マン/レンヌ/ブレスト行きの国鉄=SNCFに乗ってシャルトル迄、約1時間。

「ピカシェットの家」へのアクセスは、更に徒歩で30分弱、又は駅の南西、郵便局前から出る4番バスのラ・マドレーヌ行きに乗り、約10分です。

Le destination d’aujourd hui est Chartre…………。

2)

うっそうとした森と小麦畑や花畑がパッチワーク状に連なるなだらかな丘、小さな教会を擁する小さな村々を越え、やがて天にも届かんばかりのアシメントリーな2つの塔と、別名シャルトル・ブルーと呼ばれるはっと息を呑む美しさ=大輪の青い薔薇窓が見えてきたら、それが「ノートル・ダム大聖堂」…間もなくシャルトルに到着です。

風格ある大聖堂に相応しく、中世そのままの佇まいを見せる石造りの家々。

町の中央を南北に流れるウール川に沿った石畳の小道を、道端に咲き乱れる四季折々の花々や川に架かる年代物のアーチ状の石橋、岸辺の水車小屋を眺めながら下って行くと、

じきに町外れの墓地に出ます。

そのすぐ裏手、人一人がやっと通れる細い路地の先にあるのが「メゾン・ピカシェット:ピカシェットの家」です。

絵本『小さなお家』にも似た可愛らしいサイズのその家は、外観や部屋の壁・床・天井、庭の塀やオブジェだけでなく、花瓶からベンチ、コンロに到るまで、家具や雑貨も全て、ガラスや陶器の欠片で作った色鮮やかな「モザイク模様」で埋め尽されています。

イスラムの寺院やトルコの宮殿、ペルシャ絨毯を思わせる細かいアラベスク模様。ガウディと見まごうばかりの星や動物、海の生物を生き生きとかたどったもの。また一方で、素朴な千切り絵のような風景画や宗教画…と思いつくままに装飾され、グリム童話の『お菓子の家』をも彷彿とさせるシュールなこの家の作者は、建築にも絵画にも全く造詣の無い1900年生まれのレイモン・イジドールという墓守のおじさんでした。

兼ねてから、見回りの合間に、お墓に供えられた花瓶&割れたお皿の破片を黙々と集めてはその美しさにひとり酔いしれていた彼は、30歳になったある日、その膨大なコレクションを前に、突如、家の隅々までを、この色とりどりの「宝物」で埋め尽くす事を決意します。

以来、近所からの奇異の目にも、ピカシェット=物を貰い集める人…という皮肉な呼び名にも挫けることなく、細かな破片を拾ってはひたすら貼り付ける、忍耐力を要する孤独な作業に、彼は33年もの長きに渡り没頭します。

そして1964年、64歳になったレイモンおじさんは、いつものようにお皿の欠片をひろい集めに行く途中に倒れ、未だ覚めやらぬ夢と創作意欲の中、そのまま帰らぬ人になりました。

この純粋な心から生まれ、推定総重量15tものガラスと陶器に覆われた「ピカシェットの家」は、現在では「素朴派芸術」としてフランスの「歴史的記念物」に指定され、見学者に、日々驚きと感動を与えています。

さてこの「小さなお家」には、どんな気難しい大人でも、たちまち童心に返してしまうという不思議な噂があります。

ここに足を踏み入れるなり、誰もが口々に「凄いねぇ、綺麗だねぇ、楽しいねぇ、可愛いねぇ」と子供のような単純明快な感嘆の声を上げては、目を輝かせ無邪気にはしゃぎ回るとか。

それはきっと、レイモンおじさんの「永遠の子供心」&そんな夫を優しく見守り続けた奥さんの「暖かな愛情」が、その小さな家の中に、今なお溢れているからかもしれません。。。

3)

今回ご一緒した、子供のような素直な驚きと感動、愛と夢で一杯にしてくれる「ピカシェットの家」がある町=シャルトル…如何だったでしょうか。

それではまた、来月の旅をお楽しみに。

A la prochain fois !

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