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水曜ラベクル★『愛の妖精*ジョルジュ・サンド@Nohant』+映画5本par北山裕子

2004.08.09

Visitons au coin de la rue , pour trouver notre specialite !
第31回『ノアンの村/フランス』(06/30/2004放送分)

「旅」コラムの更新、すっかりサボりまくり(汗)な今日この頃。
映画三昧(試写会感想文)も、このままじゃ掲載する前に公開終わっちまうぜ…な作品もあり、流石に焦る∞→ひとまず公開順で5本、とっとと行っときましょう!!!

『トスカーナの休日』6/12~☆☆
=『運命の女』以来、すっかり演技開眼…のダイアン・レイン主演。
夫の不倫で離婚、イタリア・トスカーナに傷心旅行に出掛けた女性が旅先で、運命的に出会った小さな一軒家を購入。家の補修を手伝う素朴な村の人々&ド・ハンサムな年下男性との交流の中、彼女は癒され自分を取り戻していく。旬の女優ダイアンの美少女時代(『リトル・ロマンス』懐かし~)を凌ぐオーラ&素晴らしいトスカーナの景色の前では、ハンサム男も形無し?

『ウォルター少年と夏の休日』7/10~☆☆☆
=名子役も今や少年、『シックスセンス』のハーレイ・ジョエル・オスメント主演。
ある夏、身勝手な母親に、変わり者で有名な遠縁=人里離れて暮らす2人のお爺さんに預けらた少年ウォルター。当初ギクシャクするものの、お爺さん達の余りに破天荒な過去の冒険譚を知った事から、この短い夏の交流が、少年にとって生涯掛け替えの無い宝物になっていく。。。
『ビッグ・フィッシュ』と異なり、再現される華麗な過去より「今、目の前にいる」お爺さん達が格好いい!!! 2人のオスカー名優=マイケル・ケイン&ロバート・デュバルの存在感&職人技に脱帽。
今年最高に(オイオイと)泣いた、大感動◎の1本(自信持ってプッシュ)!

『バレエ・カンパニー』7/24~☆
=『家族の肖像』の名匠ロバート・アルトマン監督最新作。
アメリカに実在する超人気バレエ団「ジェフリー・バレエ・オブ・シカゴ」を舞台に、バレエに関わる人々の光と影に迫った作品。吹替え無しでバレリーナを演じたネーヴ・キャンベル、恋人役のジェームズ・フランコ(『スパイダーマン』シリーズ)、怪優マルコム・マクダウェル(『時計仕掛けのオレンジ』)にも注目≠作品的には「アルトマン好きにはお薦め」…という感じ?

『モナリザ・スマイル』8/7~☆☆
=オスカー女優*ジュリア・ロバーツ、2年ぶりの主演最新作。
女性が封建的な制度にがんじがらめになっていた50年代のアメリカ。才能や可能性があっても、結局は名家の専業主婦に収まる以外の道を閉ざされていた名門女子学校に赴任してきた一人の女性教師。体制に挫けない彼女の持ち込む自由な空気が、少しずつ生徒達の心を変えていく。。。
700着に及ぶ上品な50年代ファッション&豪華スター歌手がカバーした50年代のヒット曲の数々も◎

『誰も知らない』8/7~☆☆☆(≠採点不能◎)
=カンヌ映画祭で史上最年少・主演男優賞に輝いた柳楽優弥主演の話題作(なのに順次拡大…とはいえ単館上映/苦笑)。
88年、実際に東京で起きた育児放棄事件…といった重いテーマを扱いながら、そんな状況の中でも生き生きと成長していく子供達の姿が、痛々しくも爽やかで切ない。
都会の片隅で母親と暮らす4人の子供。戸籍も就学経験もなく父親も違う彼等は、貧しいながら幸せな日々を送っていた…僅かなお金だけを残し、母親が突如出奔するまでは。…そして社会から隔絶された、子供だけの漂流生活が始まる。。。
軽々しく感想を口にすることが憚られる、鮮烈な1本。昨年の『エレファント』に続く、映画史に残るであろう、映画自体の新境地(新たな可能性)∴映画好きを自認する方=「見ずに死ねるか!?」→是非ご覧あれ!

さて、いよいよ本文⇒今回ご一緒するのは、6月に生誕200年を迎えた、恋の国フランスを代表する「恋に生きた女」=女流作家ジョルジュ・サンドを巡る旅です。
因みに、彼女の激烈な愛憎劇を描いた映画『年下のひと』(主演:ジュリエット・ビノシュ)、恋多き女・ジョルジュの娘の「母のトラウマに苦しむ」流転振りを描いた映画『愛人日記』(主演:ソフィー・マルソー)も見応え充分◎
気になる方は是非、ビデオ等でお楽しみを。。。

1)
毎月最終水曜日この時間は、人知れぬ物語を秘めたヨーロッパの旅にお連れします。

家庭に入る以外、女性に選択肢が無かった19世紀のフランスにあって、「男装の麗人」としてリスト・ドラクロア・ヴィクトル=ユゴーにバルザック・ツルゲーネフ…といった当代一の芸術家が集うサロンに君臨。また年下の天才詩人ミュッセや「かの」ショパンらとの奔放な恋に生き、文壇でも最高の賛辞を受けたフランスの国民的女流作家=ジョルジュ・サンド。

本日の目的地は、サンド生誕200年に沸く、彼女が生涯の大半を過ごしたフランス・ロワール地方の小さな村=ノアンです。

フランス・パリ-オーステルリッツ駅からシャトールーまで列車で約1時間半。長距離バスに乗換え更に35分…パリから約2時間でノアンに到着です。

Le destination d’aujourd hui est Nohant(ノアン)…………。

2)
「パリの庭」と呼ばれる豊かな自然、美しい古城や庭園が点在するフランス・ロワール地方。木立に注ぐ澄んだ陽射しに小鳥たちの声…間もなく見えてくるのが13世紀に造られた2階建ての瀟洒な館=ノアン城ことメゾン・ド・ジョルジュ・サンド(ジョルジュ・サンド館)です。
邸内で目を引くのは、サロンの女王に相応しく洗練されたオリジナル食器に家具、料理上手を忍ばせる磨き抜かれた鍋…「男装の恋多き女」の違った一面が垣間見られます。

1804年、ポーランド王家の血を引く名門貴族の父と庶民の間に生まれたサンド=本名オーロール・ヂュパン。早くに父を亡くし後ろ盾を失った彼女は、祖母の所有するノアン城と修道院で育ち、18歳で同じ身分のデュデュヴァン男爵と結婚するも、ノイローゼになり離婚。
自活の為、仕事を求めてパリに上京した彼女は、「活動的で安上がり」との理由から男物の服で街を闊歩し、男性名のジョルジュ・サンドで書いた小説も評判を呼び、瞬く間に「芸術サロンの花」となります。

…が、年下の御曹司・美貌の天才詩人ミュッセとの「身も心も焼き尽くす」運命的な恋に翻弄され、自らを失いつつあったサンド。
そんな彼女を救ったのは懐かしいノアンの自然、そして病弱乍ら才能を秘めた若き音楽家=ショパンに向けられた母親のような穏やかな愛情でした。

3)
都会を離れた清らかな環境の下、辛抱強くショパンを介抱し、見事その才能を開花させたジョルジュ・サンド。
ロシアの文豪・ドフトエフスキーにも影響を与えた、田園風景を舞台に繰り広げられる善良な農民達の恋愛や人生模様を生き生きと描いた『愛の妖精』など数々の作品も、この頃、精力的に産み出されていきます。

ショパンが去った後も、新しい才能の発掘や援助に尽力したサンド。
72歳で亡くなるまで、幅広い世代の芸術家に囲まれ、慕われ続けました。。。

封建的な時代に自立を模索し、どんなに傷付いても愛されるより愛する事を求め、また幸せにして貰うのを待つのではなく自らが幸せを築き上げていった彼女の目に、現代女性はどのように映るのでしょうか?

4)
今回ご一緒した、George Sandが愛した村=ノアン、如何だったでしょうか?

それではまた、来月の旅をお楽しみに。
A la prochain fois !

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