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水曜ラベクル★『フランス料理の父・エスコフィエの生家ヴィルヌーヴ・ルーベ゛村』par北山裕子

2002.05.21

Visitons au coin de la rue , pour trouver notre specialite !

第5回『ヴィルヌーヴ・ルーベ村/フランス』(02/03放送分)

OA後にフランスの友人と話していて発覚(準備不足が露見=ゴメンナサイ)!

何とEU統合に伴い再整備が進んだ(パリを起点に国内の主要都市+ベルギー+スイスを結ぶオレンジ(最近は青いものも)の車体国際超高速鉄道TGVの南行きが大幅改善され、現在パリ~マルセイユ間が4時間少々、そこから在来線に乗り換えても5時間ほどでヴィルヌーヴ・ルーベ着☆となりました。

(余談:因みにロンドン行きは「ユーロスター」(青X黄)、ベルギー・オランダ・ドイツ行きは「タリス」(ワインレッド)と呼ばれます。各路線、今尚拡充中!)

思い出深いそれぞれの国の通貨が消えて、ちょっと玩具チックな(失礼?)ユーロに代わってしまったのは個人的には寂しい限りですが、流れる血液(人と通貨)+通う血管(交通網)が揃った事で『世界が100人の村だったら』に近付いているのなら、それもまた良し、でしょうか。

日本もスコ~ンと海底を通って、アジアに繋がらんものかね?ホントに(笑)。。。

1)

月に1度、ガイドブックにも殆ど出ていないヨーロッパの小さな村や町に、たった1つの出会い

を求めて出掛ける、『お気に入りを探す旅』。。。

素敵な音楽と共に、本日もご一緒しましょう。

今回訪れるのは、地中海に面した南フランス=コート・ダジュール最大の観光地ニースと、ピカソやシャガール等多くの芸術家や知識人が愛したリゾートとして近年人気のアンティーヴの間に位置する、町というよりこじんまりした静かな村です。

周囲の華やかさからすっかり取り残されたこの村で、「フランス料理の父」は生まれました。

本日の行き先は、パリ・ヴァンドーム広場に面する、故ダイアナ妃もその非業の死の直前まで滞在していた超一流ホテル『オテル・リッツ』の初代料理長で、「料理人の王様であり、王様の料理人である」とたたえられたオーギュスト・エスコフィエの生まれた村=ヴィルヌーヴ・ルーベです。

フランス、パリ-オルリー空港からニース国際空港まで約1時間30分の空の旅、またはパリ-リヨン駅から高速鉄道TGVでニースまで約7時間30分。

ニースから在来線に乗り換えてアンティーヴ方面に二つ戻った駅がヴィルヌーヴ・ルーベです。

Le destination d’aujourd hui est Villeneuve-Loubet…………。

2)

地中海といえば誰もが思い浮かべる、青い海と輝く太陽…。

ヴィルヌーヴ・ルーベの村も古くは漁港だったヨットハーバー=マリナ・デ・ベイ・ザンジュ区域は、ここ数年タラソセンターと呼ばれる海の泥を使った高級エステやリゾートホテルが立ち並

び、少しづつその表情を変えています。

それでもほんの少し白い石畳の坂を登れば、そこはもう昔ながらの風景。村の半分を占める豊かな緑に、色鮮やかな地中海野菜や果物・オリーブの畑。小さな丘の頂上には15世紀に建てられた一目で要塞跡と分かるイタリア式の古城。丘の中腹に点在するのは、小さな教会と、地中海特有の白やパステルカラーの壁にオレンジ色の瓦屋根を乗せた石造りの家々。

一際目立つレモンイエローの壁に白い窓枠、水色の鎧戸が並ぶ3階建ての建物が、現在『料理博物館』として公開されている「フランス料理の父」=オーギュスト・エスコフィエの生家です。

国境を接するイタリアやスイス、スペイン・カタローニャ地方との頻繁な往来により食文化への

影響も色濃いプロヴァンス地方の土地柄に加え、村でふんだんに採れる新鮮な海の幸・山の幸に囲まれて育ったエスコフィエ。そんな彼が料理に魅了され修行を始めたのは1858年=僅か12歳の時でした。

長い下積みの後、ピーチメルバなど次々と独創的な料理を考案した彼は、74歳で引退する迄にモンテ・カルロの『グランド・オテル』、パリの『オテル・リッツ』、ロンドンの『サヴォイ・ホテル』『カールトン・ホテル』といった一流ホテルの料理長を歴任。またドイツ・ウィルヘルム2世の料理人としても、その名声を世界中に轟かせました。

料理技術の簡素化や過剰な装飾の廃止を唱えた彼は、現代も基本確認の為プロの料理人が手放せない5000以上もの料理レシピを載せたフランス料理のバイブル=『ル・ギッド・キュリネール』を皮切りに数々の料理本を出版します。

一方で、今では当たり前の「コース料理」という価格設定を考案し、予算内での食事を可能にした事も画期的でした。

こうした数々の貢献により、それまで過酷だった料理人の職場は合理化・近代化され、彼等の社会的地位も大いに向上しました。

フランスの料理文化を世界に広めた功績でレジオン・ドヌール勲章を2度に渡り受賞し「料理大使」とも呼ばれたエスコフィエ。

引退後は、生まれ故郷と同じ地中海を臨むモンテ・カルロで、15年間ひっそりと隠居生活を送っていた「料理人の王様」は、1935年、この地で静かに息を引き取りました。。。

彼の生家全体がミュージアムになっている『料理博物館』。その一番の見所は、やはり当時のままの整然とした台所と、1500以上に上る歴代メニュー・コレクションでしょうか。

100年前に生まれたその一皿が、今この瞬間にも世界中のどこかの食卓で誰かの舌を楽しませている…そう考えると何故かワクワクしてきます。

エスコフィエの魔法は、未だ健在のようです。。。

3)

今回ご一緒した、既成概念と長年の慣習を打ち破り、現代フランス料理の礎を築いたオーギュスト・エスコフィエの生まれ育った村=ヴィルヌーヴ・ルーベ…如何だったでしょうか。

それではまた、来月の旅をお楽しみに。

A la prochain fois !

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