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水曜ラベクル★『オースティンが愛した村チョートン』par北山裕子

2002.05.12

Visitons au coin de la rue , pour trouver notre specialite !

第2回『チョートン村/イギリス』(01/11放送分)

第2回は映画&小説『ブリジット・ジョーンズの日記』等、数多くの作品の下敷きになり、世界中の若い女性のハートを時を越えて尚、ガッチリと離さない!…そんなジェーン・オースチンの故郷を訪ねる旅でした。

一緒に前述映画を見に行ったラベ・クル木・金のパーソナリティ=藤田京子さんが「目がハート☆うっとり」だったのに、登場人物に悉く難癖をつけキュートなラブ・ストーリーに、もはや夢も希望も無くなってしまった自分に涙。。。

1)

月に1度、Specialなこのコーナー。

ガイドブックにも殆ど出ていない、ヨーロッパの小さな村や町に、

たった1つのモノや建物との出会いを求めて出掛ける、『お気に入りを探す旅』。。。

素敵な音楽と共に、本日もご一緒致しましょう。

今回、皆さんと訪れるのは、イギリス南西部ハンプトン州の、美しい自然に囲まれたのどかな小さな村です。

ここには、先程ご紹介した『高慢と偏見』など、近年、41年という短いの生涯の中で残した6編の長編小説が次々と映画化・ドラマ化され、200年の時を経て改めて注目を浴びているその作者が暮らし、執筆活動を行った住まいが、当時のままの姿で保存されています。

本日の行き先は、イギリスを代表する女流作家の一人でイギリス近代小説の元祖

=ジェーン・オースティンが過ごしたチョートン村です。

イギリス、ロンドン・ウォータールー駅からアルトン行きの列車に乗って約1時間10分。終点で下車し、駅前のバスターミナルで1日5本の72番バス、またはタクシーで、チョートン村までは、更に2Km弱=約10分。

アクセスが良ければ、ロンドンから片道1時間半程度の小さな旅です。

Le destination d’aujourd hui est Chawton…………。

2)

ロンドンから南西に僅か80Km、豊かな緑と野生の花々が咲き乱れるチョートン村は、正にイギリスの「静かな田園風景」といった風情です。

美しい自然と昔ながらの藁葺き屋根の民家が点在する小さな村の辻に、オースティンが33歳の時に移り住み、亡くなるまでの8年間を過ごした家があります。

赤レンガを積み重ねた3階建て…5本の煙突に、白い扉と白い窓枠、3階部分は屋根裏部屋といった簡素な作りで、通りに面した壁に嵌め込まれた『ジェーン・オースティン・ハウス』と刻まれたプレートが無ければ、つい見過ごしてしまいそうな建物…ここで彼女は代表作『高慢と偏見』『分別と多感』等6つの作品の原稿を執筆し、作家として最も充実した日々を過ごしました。

入館料も取らずに公開されているこの小さな建物に並ぶ彼女が愛用した小さなピアノや文机、昆虫の羽根のように透き通り時代を経てもほのかに七色に輝く繊細なレースの首飾り、アクセサリーや人形、小物の数々が当時を偲ばせます。

一角には、書簡や肖像画、作品の挿絵等、彼女の生い立ちを辿る展示コーナーもありますが、興味深いのは、彼女が執筆の殆どを行った「食卓」がある、食堂兼居間でしょうか?

専用の書斎を持たず、また小説を書いていることを家族以外に知られるのを嫌った彼女は、玄関から食堂に続く通路の立て付けの悪い扉が軋む音を合図に、注意深く原稿を隠していました。その為、決してこの扉の修理だけはさせなかった、というエピソードが残っています。

ジェーン・オースティンは1775年、産業革命で近代化が進み成り金主義の台頭する北部とは対照的に、依然保守的な南イングランドのスティーヴントンで、男6人・女2人の8人兄弟の7番目に産まれました。

兄弟の中でも、特に姉のカサンドラとは、生涯を通じて心から信頼し合う仲の良い姉妹で、『高慢と偏見』『分別と多感』の中の「心優しく清らかな姉」と「賢く快活な妹」は、そのままカサンドラとジェーンを思わせるます。

財産と地位を重んじる上流社会で、それを持たない姉妹が紆余曲折を経て、最後はそれぞれが意中の大金持ちの好青年と結ばれるという物語は、残念ながら現実の姉妹には遂に訪れませんでした。二人共、婚約者や恋人に先立たれてしまったり、また望まれても踏み切れなかったりして、生涯を独身で通しました…。

建物から庭に出ると、野生の花々の生い茂る中に、家族がロバに引かせたという小さな二輪車が置いてあります。この庭から、毎日同じ鄙びた田舎の村の景色を見ながら、叶えられない自分の夢を、密かに物語に綴っていたオースティン…。

彼女の小説には「狭い人間関係と視野の中で書かれ、通俗的」との批判がありますが、その一方で、自らの切実な願いを込めた「結婚」という普遍的なテーマを扱ったからこそ、時代を超えて多くの人々、殊に若い女性の心を掴んで離さないのかもしれません。

3)

今回ご一緒した、イギリス南西部、ジェーン・オースティンの息遣いが聞こえる「チョートン村」…如何だったでしょうか。

それではまた、来月の旅をお楽しみに。

A la prochain fois !

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