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『生誕400年レンブラント&名画《夜警》秘話@Leiden』★parL*C北山裕子

2006.05.27

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第50回『ライデンの町/オランダ』(2/27/2006 OA)

ベストセラー本&映画『ダヴィンチ・コード』ブームで、俄かに活気づいているのが
絵画にまつわる薀蓄本&宗教関連のトンデモ本(根拠が???なオモシロ本)。
改めて調べてみるとダヴィンチに限らず絵画にこめられた暗号や比喩は奥深く、
また多くは悲劇に満ちた、画家の人生は波乱万丈。

古くは『モンパルナスの灯』(モジリアニ)~『真珠の耳飾りの少女』(フェルメール)
…映画化された画家の半生モノも、おしなべて佳作揃い。
個人的には、日本で近々展覧会が予定されている『カミーユ・クローデル』や、
『フリーダ』(フリーダ・カーロ)etc女流モノが、極端に「ドロドロorパワフル」で
見応えアリ◎でしたなぁ。

今回採り上げるのは、名画『夜警』や数多くの妻の肖像&自画像で有名なオランダの
画家=レンブラントです。
代表作『夜警』は、今にも動き出しそうな群衆(自警団の人々)を描いた作品で、
当時流行った「集団肖像画」に新風を吹き込んだもの。

「集団肖像画」とは今で言うところの集合写真代わりで、大勢が割り勘で代金を払い、
一枚の絵に、正装姿や歴史&宗教上の人物の扮装で各自を均等に描いて貰うもの。
貴族や大富豪でなくても肖像画が頼めると、中流階級で流行しました。
ところがレンブラントは、作品をよりドラマチックにする為、スポットライトの当たる
主人公と闇に沈む脇役を作ってしまったから、さぁ大変。
当然物議をかもし、作品の質は評価されながらもこの手の仕事は激減したそう。。。

尚、実はこの作品、暗い画面ゆえ「夜」の絵と思われがちですが、正しくは
小窓から日が差し込んでいるので「昼」の様子を描いたもの。
残念ながら市役所に飾る際に周囲を大きく切り落とされてしまい、当初の姿は不明。
また1980年には暴漢に12箇所を切りつけられるetc受難続きの1枚です。。。

1)
毎月最終火曜日この時間は、人知れぬ物語を秘めたヨーロッパの旅にお連れします。

光と影の大胆なコントラスト、一瞬の空気を切り取ったような緊張感溢れる名画の数々。
オランダを代表する天才画家=レンブラントは何故、30代にして富と名声を極めながら、
身元不明の老人として、その人生を終えたのか。

本日の目的地は、今年生誕400年を迎えるレンブラントの生まれ故郷=ライデンです。

オランダ・アムステルダムからライデンまでは、快速列車インター・シティで約30分です。

Le destination d’aujourd hui est Leiden(ライデン)…………。

2)
シーボルトが持ち帰った資料によるヨーロッパ屈指の日本研究の拠点=
アムステルダム の南西に位置するオランダ最古の学園都市ライデン。
城壁に守られた市街地。複雑な運河に沿って並ぶ、間口が狭く縦に長いレンガ造りの
街並み。運河に掛かる跳ね橋の傍らには、オランダのシンボル=巨大な風車。

穏やかな水と緑、情緒溢れる古都の香り…駅前広場の運河を渡り、風車の脇にある
白い跳ね橋を越えた小さな路地に、赤い文字で記された「レンブラント生誕の地」。

中流の粉引き職人を父に1606年、10人兄弟の末っ子に生まれた、Rembrandt
Harmenszoon van Rijn(レンブラント・ハルメンス・ファンライン)。
画家への憧れから14歳で合格した大学には進まず、有名画家に弟子入りすると
瞬く間に腕を上げ、19歳で独立。ライデンにアトリエを構えます。

リアルな群像を描いた『トゥルプ博士の解剖講義』で脚光を浴びた彼は、
有力な画商の姪で裕福な市長の娘・サスキアと結婚。
妻の人脈で高級顧客を増やし、現在レンブラント美術館になっている大豪邸を
手に入れます。

ひっきりなしに入る肖像画の注文に、多くの弟子を抱えた贅沢な暮らし。
…が代表作『夜警』の完成直後、生後8ヶ月の息子を残し、妻サスキアが病死。
この時レンブラントは36歳。ここから彼の転落が始まります。

3)
妻を失った悲しみから、息子の乳母、22歳も年下の使用人を次々と愛人にした
レンブラント。
金銭感覚のルーズさも手伝い、瞬く間に仕事が激減。
破産により財産ばかりかデッサンまで差し押さえられた彼は、遂にひとり息子をも
ペストで失います。

身元不明の老人として亡くなり、共同墓地に埋葬されたのは63歳の時。
その所持品は着ていたボロ着にハンカチ8枚、頭巾10枚。聖書1冊に、
僅かな絵の具だけでした。。。

4)
今回ご一緒したレンブラントの故郷=ライデン、如何だったでしょうか?

それではまた、来月の旅をお楽しみに。
A prochain fois !

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